アクセシビリティ対応でデザインが崩れる?両立の解決策

困った

「アクセシビリティ対応をしたら、せっかくのデザインが崩れてしまうのでは」。2024年4月の障害者差別解消法改正により、民間企業にも合理的配慮の提供が法的義務となった今、こうした不安を抱えるWeb担当者が急増しています。
しかし、正しい知識と手順を押さえれば、アクセシビリティとデザインの両立は十分に実現可能です。

この記事では、デザインが崩れる原因を一つひとつ解きほぐしながら、現場で使える具体的な解決策をお伝えします。まずは自社サイトの現状をプロの目でチェックしてみることが、安心への第一歩です。

目次

コントラスト比の確保でデザインは崩れない

ウェブアクセシビリティ対応で「デザインが崩れる」と心配される原因の多くは、コントラスト比の調整にあります。JIS X 8341-3:2016(WCAG 2.0準拠)では、本文の文字色と背景色のコントラスト比を4.5:1以上にすることが求められています。日本語の場合、22pt(約29px)以上、または太字18pt(約24px)以上の大きな文字であれば3:1以上で構いません。

この基準は、色覚特性のある方(日本人男性の約5%、女性の約0.2%が該当するとされています)がテキストを識別できるようにするためのルールです。「4.5:1」と数字だけ見ると難しそうですが、実務では「黒に近い文字色」と「白に近い背景色」の組み合わせであれば、ほとんどのケースでこの基準を満たします。むしろ、薄いグレーの文字に白い背景といった「読みにくいデザイン」を改善するきっかけになり、結果としてすべてのユーザーにとって見やすいサイトへと底上げされます。

具体的なチェック方法としては、無料ツール「カラーコントラストアナライザー」を使えば、画面上からスポイトで背景色と文字色を拾うだけでコントラスト比を瞬時に確認できます。ブランドカラーを活かしつつ、文字の可読性を高めるバランスは、ウェブアクセシビリティチェックの完全ガイドで体系的に解説していますので、対応手順の全体像をつかみたい方はあわせてご覧ください。

また、ロゴ以外の画像化された文字にも同じコントラスト基準が適用されます。デザイン上の演出として文字を小さく薄い色で配置するケースがありますが、アクセシビリティの観点からは改善が必要です。ただし、これは「デザインを壊す」のではなく、「読みにくい要素を見直す」という前向きな改善です。

リンクの下線を残せばデザインの統一感は保てる

「本文中のリンクに下線を入れると、せっかくのデザインが台無しになる」ウェブ担当者の方から、こうしたご相談をいただくことは少なくありません。確かに、近年のウェブデザインではリンクの下線を外し、ホバー時だけ下線を表示するスタイルが主流になっています。
しかし、WCAG達成基準1.4.1「色だけに依存しない情報伝達」の観点では、色の違いだけでリンクを示すデザインは、色覚特性のある方がリンクとして認識できない「失敗例」に該当します。

解決策はシンプルです。本文テキスト内のリンクには下線を維持し、その上でブランドカラーを活かしたリンク色を設定すればよいのです。ナビゲーションメニューやボタンのような、ページの構成上リンクであることが明らかな要素には下線は不要です。つまり「すべてのリンクに下線が必要」というわけではなく、テキストの中に埋め込まれたリンクに限ってルールが適用されるため、デザインへの影響は限定的です。

CSSで text-decoration: underline に加え、text-underline-offset プロパティを使えば下線の位置を微調整でき、文字と下線の間に適度な余白を確保してデザイン品質を高めることも可能です。アクセシビリティ対応は「デザインを制限するもの」ではなく、「すべてのユーザーが迷わず操作できるデザインに洗練させるプロセス」です。どこから手をつけるべきか判断に迷う場合は、アクセシビリティチェック業者の選び方を参考に、プロの力を借りることも検討してみてください。

失敗例:
色の違いを認識できない人々がリンクを識別できない状況 (色覚を持つ人々がリンクを識別できる場合) を避けることである。リンクのアンダーラインや他の色に依存しない視覚的な区別が必要である (リンクが色覚を持つ人に識別可能な場合)。
ナビゲーションリンクなど、いくつかのリンクは、ページデザインや文脈から視覚的に明らかであるが、テキスト内のリンクは、しばしばそれら自身の表示属性からのみ視覚的に理解される。下線を削除し、そのようなリンクの色差のみを残すことは、それがリンクであるという他の視覚的な表示 (色以外に) がないため、失敗した。

動画への字幕追加はデザイン崩れとは無関係

動画コンテンツのアクセシビリティ対応として、字幕(キャプション)の付与が求められます。JIS X 8341-3:2016のレベルAでは、動画の音声情報をキャプションとして提供すること、そして動画の内容をHTML等で書き起こしたページを別途用意することが必要とされています。

「動画に字幕を入れるとデザインが変わってしまう」と心配される方もいらっしゃいますが、字幕はあくまで動画プレーヤー内に表示されるものであり、サイト全体のレイアウトやデザインに影響を与えることはありません。YouTubeやVimeoなどのプラットフォームでは字幕の自動生成機能も備わっており、運用の手間も大幅に軽減されています。

むしろ注目すべきは、字幕があることで動画の視聴率が向上するという点です。電車内や会議中などの音声を出せない環境でも内容が伝わるため、すべてのユーザーにとって有益な対応です。また、字幕テキストは検索エンジンにインデックスされるため、SEO面でもプラスの効果が期待できます。

なお、2024年5月に改訂された総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」では、WCAG 2.2への早期対応が推奨されています。今後はJIS X 8341-3も改正される見込みのため、動画コンテンツを含むサイト全体のアクセシビリティを早めに見直しておくことが重要です。現在のサイトがどの程度基準を満たしているか不安な方は、ハマ企画のウェブアクセシビリティチェックサービスで現状を把握することをおすすめします。

法改正でアクセシビリティ対応は「義務」の時代へ

2024年4月1日、改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者にも障害のある方への合理的配慮の提供が法的義務となりました。これ以前は「努力義務」にとどまっていたため多くの企業が対応を後回しにしてきましたが、今や法律上の義務として対応が求められています。違反を繰り返し、自主的な改善が見込めない場合には、主務大臣から助言・指導・勧告といった行政措置が取られる可能性があります。

ウェブアクセシビリティは、この合理的配慮の「環境の整備」に位置づけられます。ホームページは企業と顧客の主要な接点であり、誰もが情報を取得できる状態にしておくことは、法令遵守だけでなくビジネス上の合理的な判断でもあります。

さらに、ウェブアクセシビリティの国内基準であるJIS X 8341-3は、現行の2016年版(WCAG 2.0準拠)から、2026年度にもWCAG 2.2ベースへと改正される見通しです。達成基準は現行の約1.44倍に増加し、スマートフォン操作や認知障害への配慮など、現代のWeb環境に即した項目が追加されます。「今のJIS基準を満たしているから安心」ではなく、将来の規格改正を見据えた早めの対応が、結果として手戻りコストの削減につながります。

自治体のHP制作においてもアクセシビリティ対応は重要な選定基準となっていますが、民間企業であっても同じ原則があてはまります。自社のホームページが現在の基準をどの程度満たしているのか、まずは客観的に把握することが対応の第一歩です。

まずは現状把握から:プロのチェックで安心を

ここまでお読みいただき、「デザインを壊さずにアクセシビリティ対応ができる」ことをご理解いただけたのではないでしょうか。しかし、コントラスト比やリンクの視認性、動画の字幕対応、さらには将来のJIS改正への備えまで含めると、チェックすべき項目は決して少なくありません。自社の担当者だけで網羅的に対応するのは、現実的には大きな負担です。

ハマ企画では、JIS X 8341-3:2016に基づいたウェブアクセシビリティチェックを、アクセシビリティ作業経験を持つ専門チームが実施しています。ただチェックして終わりではなく、改善方法のご提案、制作会社との連携、改善後の再チェックまでワンストップで対応します。

「うちのホームページ、本当に大丈夫だろうか」——そんな漠然とした不安こそ、プロに相談するタイミングです。法改正への対応状況や、今後のJIS改正に向けて何を優先すべきかも含め、まずは現状を客観的に把握するところから始めてみませんか。

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「何から手をつければいいかわからない」という方も、初回のご相談で現状と優先事項を整理できます。お気軽にお問い合わせください。

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