社員にAIを使わせたいが、経営者の自分が何から始めればいいかわからない」。2026年6月、京都経済センターで開催された経営者向け例会にハマ企画代表の田中が登壇し、会場とZoom配信を合わせて160名の中小企業経営者と60分間、AI活用の実践について対話しました。135名から得たリアルタイムアンケートの結果も踏まえ、技術論ではなく経営者目線のAI活用の実践論をお伝えします。
AIは経営者にとっての「指示待ちの中堅社員」であり、的確な指示があって初めて成果を出します。経営者本人がAIを使い倒す姿勢こそが、AI時代の経営判断の前提条件です。
なぜ160名の経営者の前でAI活用を語ることになったのか?
ハマ企画代表の田中が、京都の経営者向け例会でAI活用について60分間の登壇を行いました。
2026年6月18日、京都経済センター7階で開催された経営者向け例会「AI活用で仕事が変わる?!」に講師として登壇し、会場とZoom配信を合わせて160名の中小企業経営者が参加しました。登壇の詳細はハマ企画コラム「中小企業経営者のAI活用入門|160名と考えた実践論」でも公開しています。

京都での登壇のきっかけと背景
登壇のきっかけは、中同協広報委員会の交流会で私がAIについて登壇したこのがきっかけであり、その前には中小企業の経営者同士が学び合う場において「AIについて経営者目線で語れる人がいない」という声でした。
AI活用に関するセミナーは数多くありますが、その大半はエンジニアやツールベンダーが登壇する技術寄りの内容です。経営者が知りたいのは「ChatGPTの使い方」ではなく「AIがある時代に自社をどうするか」という経営判断の話であり、それを経営者目線で語れる講師が求められていました。
経営者向けにAIを語れる人材が求められていた
ハマ企画は横浜で25年以上にわたりウェブマーケティングを支援してきた企業であり、代表の田中はウェブ解析士マスターの資格を持つ経営者です。自らAIを日常的に活用しながらクライアント企業のウェブ解析やコンテンツマーケティングを支援する立場にあり、技術と経営の両方を語れる人材としての依頼でした。登壇ではその場でGoogleフォームによるAI利用実態のリアルタイムアンケートも実施し、135名から回答を得ています。収集したデータはClaudeで構築した分析アプリに即座に投入し、ダッシュボードとして可視化するプロセスを会場で実演しました。
「AIは魔法の杖ではない」と伝えた理由は何か?
AIは何でもできる万能ツールではなく、的確な指示を出せて初めて力を発揮する「指示待ちの中堅社員」です。
登壇で最初に伝えたのはこのメッセージでした。経営者の中には「AIを入れれば仕事が劇的に変わる」という過度な期待を持っている方もいます。しかしAIの回答の質は、こちらが出す指示(プロンプト)の質に比例します。指示が曖昧であれば見当違いの答えが返ってきますし、的確な指示を出せば優秀な部下として動いてくれます。
AIは的確な指示で動く「指示待ちの中堅社員」
ChatGPT、Google Gemini、Microsoft Copilot、Claudeといった生成AIツールにはそれぞれ得意分野がありますが、いずれも経営者がきちんと指示を出すことで初めて力を発揮します。AIがまともな答えを返さないとき、それはAIの問題ではなく、こちらの伝え方(プロンプト・設計)の問題です。ハマ企画がクライアントのウェブ解析やコンテンツ制作を支援する際にも、AIに対する指示の精度が成果を大きく左右する場面を日常的に経験しています。AIコンテンツでGoogle1位を取材から30分で公開した方法はその具体例であり、AIの出力を「経営者の目」で磨くプロセスが成果の鍵でした。
経営方針の言語化がAIへの最強の指示になる
登壇で特に強調したのは、経営のあり方を成文化する力がそのままAIへの最強のプロンプト(指示文)になるという点です。中小企業家同友会の多くの経営者は経営を成文化して指針にしているため、経営指針を文章にしている経営者であれば、物事を言語化する力はすでに持っているはずです。
その経営指針をAIに読み込ませることで、「自社の文脈を理解したうえでの回答」を引き出せるようになります。AIへの的確な指示は、特別な技術スキルではなく、経営者としての言語化力の延長線上にあるのです。
自社の経営方針をAI活用やウェブマーケティングにどう結びつけるか、具体的な進め方を相談したい方は、
ハマ企画のウェブ解析・AI活用顧問サービスで経営者目線の支援体制をご確認ください。
経営者自身がAIを使わなければ何が起きるのか?
経営者が使わないものを社員が使うはずがなく、放置すれば情報漏洩リスクが水面下で拡大します。
「社長が使っていないものを社員が使うはずがない」。これは135名との質疑応答でも複数の経営者がうなずいた指摘です。経営者がAIを日常的に使い、その体験を社内で共有することで初めて「うちの会社ではAIを使っていいのだ」という文化が生まれます。
64%が活用しているのに法人プランは36%の現実
京都の登壇で実施したリアルタイムアンケートでは、135名中64%の経営者がAIを「いつも活用している」と回答しました。しかし法人プランを導入済みの企業は36%にとどまり、39%が「無料版を各自で利用」している状態でした。使用経験のあるAIツールではChatGPTが圧倒的多数を占め、Google Gemini、Microsoft Copilot、Claudeと続きましたが、複数ツールを比較検討している経営者はまだ少数派です。
「とりあえずChatGPT」の段階にとどまっている企業が大半であり、使い始めてはいるが守りの体制が追いついていないのが中小企業のAI活用の現在地です。
シャドーAIが広がる「静かなリスク拡大期」
39%が無料版を各自で利用しているという数字は、社員が個人アカウントで業務データをAIに入力する「シャドーAI」が発生している可能性を示唆しています。無料版に業務データを入力すれば、その情報がAIの学習データに取り込まれる可能性があります。AIを公式に認めていない会社ほど、情報漏洩リスクが水面下で拡大する「静かなリスク拡大期」に入っているのです。法人プランへの移行はコストではなく「情報資産を守る経営判断」であり、社内ルールの整備と合わせて早急に対応すべき課題です。
中小企業経営者のAI活用入門でよくある質問
160名の経営者はAIの何に悩んでいたか?
質疑応答で出た質問を整理すると、経営者のAIに対する悩みは「始め方がわからない」「リスクが怖い」「判断軸が欲しい」の3つに集約されます。
京都経済センターのメイン会場に加え、綾部市のサテライト会場にもZoom配信で参加者が集まりました。質疑応答の時間になると次々と手が挙がり、経営者のAIへの関心の高さが伝わってきました。
質疑で浮かび上がった共通課題
質疑応答で経営者から寄せられた質問は多岐にわたりましたが、分類すると共通の課題が見えてきます。
- 「会社でAIを使うとき、何から始めたらいいか」
最も多かった質問であり、経営者の大半がまだAIの入口で立ち止まっている現実を示していました。 - 「どのAIツールを選べばいいか」
ChatGPT・Copilot・Geminiなど選択肢が増えたことで、かえって判断が難しくなっている状況が伺えました。 - 「セキュリティは大丈夫か、個人情報の扱いはどうなるか」
情報漏洩への懸念は根強く、この不安がAI導入を足踏みさせている企業が多い印象でした。 - 「社内ルールのひな形が欲しい」
使い方以前にルールがない状態を何とかしたいという切実な課題感がありました。 - 「AIが普及してもなくならない仕事はあるのか」
社員の不安を代弁する形での質問であり、経営者が社内の空気を感じ取っていることが伝わりました。
これらの質問すべてに登壇の場で回答しましたが、特に困る質問はありませんでした。経営者が悩んでいるポイントは技術的な難題ではなく、日常の経営判断とAIをどう結びつけるかという実務的な内容だったからです。
経営者が本当に求めていたのは「判断軸」
質問を総合して感じたのは、経営者が求めているのは「AIの使い方」以上に「AIとどう付き合うかの判断軸」だということです。ツールの操作方法はウェブで調べれば見つかりますが、「AIの回答をどこまで信用していいのか」「社員に使わせるときの責任範囲はどこまでか」といった判断軸は、経営者同士でないと共有しにくいテーマです。ハマ企画でAI活用の支援を行う際も、ツール導入ではなくこの「判断軸の設計」から始めるケースが増えています。建設コンサルタント会社での生成AI社員研修でも、ツールの使い方ではなく「判断軸をどう設計するか」が研修の中核でした。
AI時代に「人を生かす経営」をどう実現するか?
AIにできることはAIに任せ、人間は感情への配慮・創造・責任という、人間にしかできないことに集中すべきです。
160名との登壇の後半で最も力を入れて伝えたのは、AIと経営姿勢の関係です。AI活用というと技術の話に終始しがちですが、中小企業経営者にとって本質的に大切なのは「AIをどう使うか」ではなく「AIがある時代に自社をどうしたいか」という経営の根幹に関わる問いです。
AIにできることを任せ人間は創造と責任に集中する
「経営判断をAIに委ねると自分の会社ではなくなる」。これは登壇で最も強い反応があったメッセージです。AIは情報収集・分析・下書きの効率化に優れたツールですが、最終判断は経営者が行うべきです。
判断を委ねた瞬間、その企業の方向性はAIの学習データが決めることになり、経営者としての存在意義が薄れてしまいます。AIの役割は「人間の判断を支えること」であり、経営者の役割は「支持する力」「仕事を創造する力」「最終決定する責任」を持ち続けることです。
経営の言語化力がAI活用の土台になる
AI時代だからこそ、経営方針の成文化が重要性を増しています。
成文化された経営指針があれば、それ自体がAIに的確な指示を出すための最強のプロンプトになります。そして経営者がAIへの伝え方を磨くプロセスは、社員への伝え方を磨くプロセスでもあります。経営者がAIへの伝え方を磨くことで、人を生かす経営者になっていく。これは160名の経営者の前で最後に伝えたメッセージであり、ハマ企画の信念でもあります。横浜の税理士・社労士事務所での生成AIセミナー開催事例でも、経営指針を持つ事務所がAI活用の土台としてその指針をどう活かしたかを紹介しています。
経営者がAI活用で最初に取り組むべき3つのステップ
経営者のAI活用は「経営方針の言語化」「日常的なAI利用」「社内ルールの整備」の3段階で進めるのが現実的です。
160名の経営者からの質問で最も多かった「何から始めればいいか」に対し、登壇ではこの3ステップで回答しました。
- ステップ1
自社の経営方針を成文化することです。AIの操作を覚えることではなく、自社の方向性を文章にすることが出発点です。成文化された経営指針をAIに読み込ませることで、自社の文脈を理解した回答を引き出せるようになります。 - ステップ2
AIに毎日話しかける習慣をつくることです。朝の業務開始時にChatGPTに「今日のスケジュールで優先すべきことは何か」と聞いてみる、取引先への返信メールの下書きを頼んでみるといった小さな実践から始めれば十分です。経営者自身がAIを日常的に使うことで、社内に「AIを使っていい」という空気が自然に生まれます。 - ステップ3
社内ルールの策定です。最低限守るべき原則は3つに集約できます。個人情報はAIに入力しないこと、AIの回答をそのまま社外に出さないこと、有料プランを使い情報の取り扱いを明確にすることです。可能であれば就業規則にAI利用ルールを組み込むことが望ましいでしょう。
この3ステップは、ハマ企画が支援する企業でも繰り返し実践しているアプローチです。不動産会社がウェブマーケで成果を増やした方法や自動車販売会社のコンテンツSEOから広告成果へ繋げた事例でも、経営者がまずAIとウェブマーケティングを理解するところから支援が始まっています。その他の支援実績はSEO・AI・ウェブ解析の事例一覧ページでもご覧いただけます。
経営者のAI活用を自社の成果に変えるために
中小企業経営者にとってのAI活用は、ツールの操作を覚えることではなく、経営の言語化力を高めることから始まります。160名の経営者との対話と135名のリアルタイムアンケートから見えたのは、AIに対する不安の多くが「使ったことがないから」に起因しているという事実でした。
64%がすでにAIを活用しているにもかかわらず、法人プランの整備は36%にとどまり、社内ルールなしに無料版を使っている企業が39%にのぼります。まず経営者自身がAIを毎日使い、社内ルールを整え、社員が安心してAIを使える環境をつくること。そしてAIにできることはAIに任せ、人間は感情の配慮・創造・責任に集中すること。この順番で進めれば、AIは中小企業経営の確かな味方になります。
「AIを経営にどう活かせるか、経営者目線でまず相談してみたい」とお感じの方は、ハマ企画のウェブ解析・AI活用顧問サービスをご確認ください。160名の経営者と向き合った経験をもとに、御社の状況に合ったAI活用の方向性を一緒に整理します。自社サイトのSEOやコンテンツを起点にAI活用を始めたい方は、SEO診断(5万円)やコンテンツ診断(10万円)でまず現状を把握するところから始められます。

