Webサイトをリニューアルするとき、見た目の刷新だけでなく「成果が出るかどうか」が重要です。
この記事では、「これからリニューアルを検討している方」や「現在進行中の方」に向けて、成果につながるリニューアルにするために必要な準備・効果測定の基本を解説します。
特に、Googleアナリティクス4(GA4)などの無料ツールを用いて、事前準備から改善まで一貫した視点でのチェックポイントをまとめました
サイトリニューアルの「効果」とは?|見た目だけじゃない評価の視点
サイトをリニューアルしたあと、「見た目は良くなった」「スマホでも見やすくなった」と感じても、それが“成果”として現れているとは限りません。(デザインと見やすさ向上のみを目的としたリニューアルなら、話は別ですが、ここでは「自社の成果につながるリニューアルを目指している」を前提としています)
では、リニューアルによる効果とはどんなものがあるでしょうか。期待する効果としては、たとえば以下のような変化が挙げられます。
そしてこれらの変化があると、「”成果につながる効果”があった」となります。
リニューアルに期待する効果
- 問い合わせや資料請求など、自社の成果につながる行動の増加
- ユーザーの滞在時間やページ遷移の改善
- 検索エンジン経由でのアクセス数の増加
- 離脱率の低下、回遊率の向上
問い合わせや資料請求など、自社の成果につながる行動の増加があったか
Webサイトの目的は「見てもらうこと」ではなく「行動してもらうこと」です。
たとえば、リニューアル後に問い合わせフォームや資料請求の数が増えた場合、顧客の興味や信頼が高まり、ビジネスの成果につながっているサインと考えられます。売上や商談数の向上も期待できます。
ユーザーの滞在時間やページ遷移の改善はあったか
ユーザーが1ページだけ見てすぐに離れるのではなく、サイト内の複数ページを見たり、長く滞在しているということであれば、コンテンツに興味を持っている証拠です。
しっかり情報を読んでもらえていれば、その後の問い合わせや申し込みといったアクションにもつながりやすくなります。
検索エンジン経由でのアクセス数の増加はあったか
Googleなどの検索画面からの流入が増えたならば、サイトの情報が検索エンジンに正しく評価され、見つけられやすくなったということです。
新規ユーザーの獲得や、これまで届かなかった層へのアプローチに繋がり、見込み顧客の母数が増える効果が見込まれます。
離脱率の低下、回遊率の向上はあったか
「離脱率が下がる=すぐにサイトを離れる人が減る」、「回遊率が上がる=サイト内の複数ページを見てくれている」ということです。
これは、ユーザーが自分にとって役立つ情報を見つけやすくなったという表れです。結果的に、ブランドへの理解が深まり、次のアクション(問い合わせ・購入など)への接続率が上がります。
このような指標をもとに数値の上がり下がりを見て、「リニューアル前と比べて何がどれだけ変わったか」を見ることが、効果測定の出発点です。
効果測定が必要な理由|リニューアルしても成果が出ないケースも
Webサイトのリニューアルは、必ずしもすぐに成果が出るわけではありません。
「予算をかけてサイトを作り直したのに、問い合わせが減った」「アクセス数が横ばいのまま」という事もあり得ます。
その原因はさまざまですが、よくあるのは以下のようなケースです。
- コンバージョン導線の設計が不十分だった
- ユーザーの検索意図とページ構成がズレていた
- 内部リンクや構造の最適化ができていなかった
- 目標に合わせた効果測定が行われていなかった
「せっかくリニューアルしたのに」「最初の構想が間違っていたなんて…」と落胆する必要はありません!
リニューアルは“改善のきっかけ”に過ぎません。
リニューアルで、サイト内の何かを変更した。この変更によって、こんな変化が起こっている。(その変化が不本意なものであっても!)これがわかれば、「ではこうしてみたらどうか?」と次の策を考えたり、しっかり数字を見てみると「問い合わせは減ったけど、表示回数は増えてるかも・・・」なんてことが発覚することも。
主観で「失敗だった」と即決するのではなく、リニューアル前後でジックリ比較の測定をしてみるのです。実際の成果につなげるには、数値に基づいた振り返りと改善が不可欠です。
測定前にやりたいこと:目標設定とKPI整理
Webサイトのリニューアルを成功させるには、「どんな変化を期待するか」をあらかじめ明確にしておくことがとても大切です。
「見た目をキレイにする」だけでなく、“成果につながるリニューアル”にするために、目標とKPI(重要な数字)をしっかり整理しておきましょう。
まずは「目標(ゴール)」を決めよう
目標とは、ずばり「リニューアルによって何を実現したいか」という「ゴール」のことです。以下は例ですが、自社のサービススタイルに合わせて、設定してみてください。もともとサイトからの問い合わせから顧客獲得をしているなら、そこをもっと強化したい、と考えるでしょうし、サイトからの問い合わせがほとんどないのであれば、まずは「検索エンジンからのアクセス強化」となる事が多いかと思います。ちょっとドキドキしますが、思い切って具体的な数値を設定しましょう!
たとえば:
- 「今よりもっと問い合わせを増やしたい」
- 「資料請求を2倍にしたい」
- 「検索からのアクセス数を増やしたい」
- 「見込み客との接点をもっと作りたい」など
どれも正解です。大事なのは、自社にとって意味のある変化を明確にしておくことです。
ポイント:数字で表現しよう!
「月に30件の問い合わせを目指す」など、できるだけ具体的に数字を入れると、あとで効果を比べやすくなります。
次に「KPI(重要な指標)」を決めよう
KPIとは、「上で作った目標を達成できているかどうか」をチェックするための具体的な数字です。
たとえば、「問い合わせを増やしたい」が目標であれば、それができているかどうか(どのくらいできているか)を確認するために「問い合わせ件数」を観測する。という事です。そして、それらをリニューアル前後で観測する事が、効果測定という事になります。
目標(ゴール) | KPI(確認する数字) |
---|---|
問い合わせを増やしたい | 問い合わせ件数、コンバージョン率(CVR) |
検索からの集客を増やしたい | オーガニック検索流入数、検索順位 |
サイト内をたくさん見てもらいたい | 平均ページビュー数、直帰率、滞在時間 |
ちなみにKPIは、Googleアナリティクス4(GA4)やGoogle Search Console(GSC)などの無料ツールでチェックできます。
無料ツールで始めるWeb解析|GA4・GSC・Clarity活用術
Webサイトのリニューアルを成功させるには、「やって終わり」ではなく、その後に成果が出ているかどうかを確認することがとても大切です。
でも、「何を見ればいいのかわからない」「特別なツールが必要?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
実は、無料で使える便利なツールがいくつもあり、リニューアル前の準備から、公開後の効果測定までしっかり対応できます。ここでは、代表的な3つのツールをご紹介します。
Googleアナリティクス4(GA4)|サイトの利用状況を数字で見える化
GA4は、サイトを訪れた人の行動を細かく数字で把握できる無料ツールです。
たとえば、こんなことがわかります:
- 何人の人がサイトに来たか(ユーザー数)
- どのページがよく見られているか(ページビュー)
- 問い合わせボタンを押した人の数(イベント数)
- どれくらいの時間、サイトに滞在していたか(エンゲージメント時間)
リニューアル前後で、ユーザー数の増減や、ページビューの少なかったページが多くなったかどうか、イベント数が増えたかどうか、エンゲージメント時間が増えたかどうか、をチェックできます
GA4は、そのまま使おうとすると、項目がたくさんあってなかなか大変ですが、初心者の方でも、見るべき項目をしぼれば活用しやすいツールです。慣れるまでは上記の項目を参考に、必要な指標だけを見るようにしてみて下さい。
Google Search Console(GSC)|検索からのアクセスをチェック
GSCは、Google検索からサイトがどう見られているかを教えてくれるツールです。前述のGoogleアナリティクス4(GA4)が「サイトに訪れた後の行動」に焦点を当てているとすると、Google Search Console(GSC)は「サイトを訪れる前の環境や行動」に焦点が当てられます。
こんなことが確認できます:
- どんなキーワードで検索されたか(検索クエリ)
- 検索結果に何回表示されたか、何回クリックされたか
- ページがGoogleに正しく登録されているか(インデックス状況)
リニューアル前後で、特定の検索クエリでの検索順位が上がったかどうか、検索結果への表示回数が増えたかどうか、などを検証できます
サイト訪問前の環境や行動に焦点が当てられますので、特に「検索からの集客を強化したい」と考えている方には、必須のツールです。
Microsoft Clarity|ユーザーの動きを可視化(ヒートマップ)
Clarityにあるヒートマップで、ユーザーがどこをクリックして、どこで迷っているのかを視覚的に確認できます。
- どこを一番クリックしているか(クリックマップ)
- ページをどこまでスクロールしたか(スクロールヒートマップ)
- ユーザーの行動を録画で確認(セッションレコーディング)
もしデザインやボタン配置をリニューアルで変更していれば、それらが使いやすいか、ユーザーが途中で迷っていないかがわかります
GA4などの数字だけでは気づけない「ユーザーの指の動き」が見えてくる、便利なツールです。
まずは導入&確認からはじめましょう
これらのツールはすべて無料で使えます。
「これからリニューアルを考えている方」は、今のデータを記録しておくことが成功の第一歩です。
「すでに進行中・完了した方」は、まず現状を把握してみましょう。
難しく感じるかもしれませんが、一歩ずつ進めれば大丈夫。
設定や使い方に迷ったときは、私たちもサポートできますので、ぜひご相談ください。
Before/After比較で見るべきポイント|集客・導線・CV
リニューアルの効果を見極めるためには、「リニューアル前と何が変わったか」を把握する必要があります。上記で決めた目標をもとにしたKPIを追うのはもちろん、「集客・導線・CV(コンバージョン)」の目線での比較を加えると、より深く理解できます。
比較すべき主な項目
項目 | 見るべき指標 |
---|---|
集客状況 | 流入数、流入元(SNS・検索・広告など) |
ページ閲覧傾向 | 人気ページの変化、滞在時間、直帰率 |
行動の変化 | CTAボタンのクリック数、フォーム入力率など |
自社で決めたKPIにない場合は、追加で見ておくと良いと思います。可能であれば、「同じ月の前年」と比較すると、季節要因の影響も排除できます。
リニューアル後の「変わらない」悩みに効く視点
「思ったより成果が出ていない…」と感じる場合、次のような点を見直してみると良いかもしれません。
- CTA(問い合わせボタン・資料請求ボタンなど)の配置と文言
- ページ構成とユーザー導線が直感的かどうか
- コンテンツの質(ユーザーの検索意図に合っているか)
- スマホ表示や読み込み速度
数値だけでなく、実際にユーザーになったつもりでサイトを見直す視点も大切です。
効果測定で見えてくる改善アクションの作り方
少し専門的にはなりますが、数値の変化を確認した後は、次にどう活かすかがポイントです。
たとえば…
- 離脱率が高いページ → 導線や見出しを改善
- CTAのクリックが少ない → 位置や文言の見直し
- 流入が少ない → タイトル・meta改善やSEO対策
改善策を考える際は、PDCAの考え方が役立ちます。
Plan(どのページをどう改善するかを設計)→Do(改善を実施)→Check(GA4やGSCで効果を確認)→Action(再調整しながら改善を継続)
社内対応と外部委託の境界線|プロに任せるべきはどこか
アクセス解析や効果測定は、ツールの扱いや指標の理解が必要です。
社内に知見がある場合は内製でも対応できますが、以下のような場合は外部のプロに相談するのもひとつの方法です。
プロに相談するかどうかのポイント:
- GA4の導入・設定に不安がある
- 適切な指標がわからない
- 改善提案が必要だけどリソースが足りない
- 社内にWebマーケティングの知見がない
リニューアル後の“もったいない状態”を防ぐために、第三者の視点を取り入れることで、次の一手が見えてくることも多いです。
まとめ|効果測定から始まる“育てるWebサイト”
リニューアルはゴールではなく、スタートです。
見た目が新しくなったあとに「どんな変化が起きたのか」を丁寧に測定・確認することで、本当の改善が始まります。
数字をもとに振り返り、改善を重ねていくことで、サイトは「ただあるだけ」から「成果を出す仕組み」へと変わっていきます。
最初の一歩として、まずはGA4やGSCを使って「今の状態」を知るところから始めてみてください。
「どう見ればいいかわからない…」というときは、いつでもご相談くださいね。